[活動報告:文化]令和4年度 くすのき学級第2回 人権教育合同講座「ハンセン病問題から学ぶこと」

 【令和4年度 人権講座(合同講座)】

7月15日(金)に合同講座として人権講座が開催されました。


今年度の講座のテーマは「ハンセン病問題から学ぶこと」国立ハンセン病資料館事業部社会啓発課長、大橋俊一郎講師を迎えての講演会となりました。人権の大切さ、差別の残酷さ、ハンセン病問題の教訓などを、ハンセン病患者の体験談や実際に起きた事件を基に、具体的にお話しいただきました。人権について考えさせられるとても有意義な内容でありました。

ハンセン病は「らい菌」によって末梢神経や皮膚が侵される病気です。発症しても移りにくい病気であり、今では薬で治る病気です。普通と同じ病気でしたが、昔は「恐ろしい伝染病」「移ると治らない」という偏った考えで療養所に一生閉じ込められた、という歴史があったことを初めて知り驚きました。

政府による、ハンセン病患者を強制的に療養所へ送り込もうとした「本妙寺(熊本)における強制収容」事件。これがきっかけで一家離散、親族の離婚や失業、自殺、一家心中が各地で起こったそうです。療養所なのでいわゆる病院と一緒なのはずなのに、患者を閉じ込める監禁室があったり、療養所の運営に必要な仕事を行わせたり、プライバシーのない雑居生活、それは療養所というよりも刑務所のよう。病気を治して社会に戻っていくための場所ではなく、「ここで死んでもらう」ための場所。多くの人は家族との縁が切れてしまうので、亡くなっても家族のお墓に入れなかったそうです。その為、療養所には納骨堂があります。

具体的に、「黒髪小学校事件」「断種と中絶」について説明いただきました。「黒髪小学校事件」は熊本県で起きた事件です。ある子供の親はハンセン病の患者でしたが、感染していない子供が療養所の外の黒髪小学校に入学することになった際に、児童の保護者たちが大反対し大きな事件になったという事を詳しくお話して下さいました。後に、この事件は「あついかべ」として映画化されています。監督の「差別は自分の事になった時に姿を表す」という言葉が印象に残りました。


「断種と中絶」では、入所者同士で結婚することは認められていましたが、男性は断種手術を受けなくてはいけなかったことや、女性が妊娠した場合は中絶手術受けなければならなかったこと、被害に遭われた本人の小説の抜粋を読み上げながら説明いただきましたが、とてもショックを受けました。国が行った強制隔離とハンセン病への差別の残酷さを知りました。

今では、療養所内で社会との交流も含めて小説、音楽、スポーツ、絵画といろいろな活動が行われてきているということです。

ハンセン病問題の教訓として、「正しい知識とそれに基づいた行動をとることが大切」現代ではコロナにも言える事ではないでしょうか。知らないということが、その方々達の人生を変えてしまう。人権の大切さを知るきっかけになりました。